鳴き声を「テッペンカケタカ」と“聞きなし”する、夏鳥のホトトギス。姿を見たことが無くとも、初夏の訪れを伝えてくれる、だれもが知るお馴染みの野鳥です。
そんなホトトギスの名がついた植物が、ホトトギス(Tricyrtis属)のなかまです。
初秋を迎え、うす暗い林を散策すると、4種のホトトギスのなかまを、よく見かけるようになりました。
身近なホトトギスのなかま4種
ホトトギスのなかまは世界に約20種知られ、12種が日本に生育しています。そのうち、10種が日本固有種です。埼玉県ではそれほど多くの種は見られませんが、ここで紹介する4種(タイワンホトトギスは植えていたものが野生化している)は、身近な雑木林などで観察することができます。
ホトトギスの花をよく見ると、斑紋があるのに気づきます。この斑紋が、野鳥のホトトギスの胸にある模様と似ていることから、ホトトギスと名がつきました。
さて、ホトトギスとタイワンホトトギス、ヤマホトトギスとヤマジノホトトギスはよく似ていますが、ポイントを抑えれば、それぞれおおよそ区別することができます。
まぁ自然相手なので絶対ではありませんが……。
花のアップ。種類は上の画像と同じ並び
ホトトギスとタイワンホトトギスくらべ
葉の脇(葉脇)に花をつけるのがホトトギスで、枝が分岐し、それぞれに花をつけるのがタイワンホトトギス。
葉にたくさんの毛が生えているのがホトトギスで、葉に光沢があるのがタイワンホトトギス。
ヤマホトトギスとヤマジノホトトギスくらべ
花被片が反り返っているのがヤマホトトギスで、咲きたては花被片が平たく開くのがヤマジノホトトギス。ただし、花終わりのヤマジノホトトギスの花被片は下に垂れ下がる。
花が散房状に枝分かれしてつくのがヤマホトトギスで、花が葉の脇(葉脇)にほぼ単生するのがヤマジノホトトギス。
なんとな〜くでイイので、それぞれの識別ポイントをおさえておくと、種のあたりをつけることができますし、あとから種を同定するのにも役立ちます。
分 類 / ユリ目 ユリ科 ホトトギス属
和 名 / ホトトギス(杜鵑草)
学 名 / Tricyrtis hirta
花 期 / 8-9月
生活型 / 多年草
分 布 / 北海道〜九州
分 類 / ユリ目 ユリ科 ホトトギス属
和 名 / タイワンホトトギス(台湾杜鵑草)
学 名 / Tricyrtis formosana
花 期 / 9-10月
生活型 / 多年草
分 布 / 西表島・台湾(野生化したものが各地で見られる)
分 類 / ユリ目 ユリ科 ホトトギス属
和 名 / ヤマホトトギス(山杜鵑草)
学 名 / Tricyrtis macropoda
花 期 / 7-9月
生活型 / 多年草
分 布 / 北海道〜九州
分 類 / ユリ目 ユリ科 ホトトギス属
和 名 / ヤマジノホトトギス(山路杜鵑草)
学 名 / Tricyrtis affinis
花 期 / 8-10月
生活型 / 多年草
分 布 / 北海道〜九州
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