今年の10月、カエデの種子探しをしにガロアと訪れた秩父の奥山。そこで見かけたのが、ツキノワグマのしわざ「クマ剥ぎ」。
見つけたのが夜中だったので、明るい時間帯にもう一度見に行こうと考えているうちに、気づけば12月下旬になってしまいました。
無数のつららが岸壁を飾る
毎年この時期は〆切でバタバタしていて、なんとも身動きがとりづらいのだけれど、年を越したくないので、12月下旬、午前中にエイヤッと弾丸クマ剥ぎ観察へ。
早朝に思いたって車に乗り込み、目的地付近の某ダムに到着したのが午前9時。岸壁にできたつららを横目に、そこから林道を20分ほど進むと「クマ剥ぎ」ポイントに到着。
見事に樹皮を剥がされたスギ
スギの樹皮が、バナナの皮のようにむかれたクマ剥ぎ。夜に観察したときよりも、周辺の環境の状況がよくわかるので、やっぱり昼間に見とかなければね。
画像のクマ剥ぎのある場所から、見える範囲だけで3か所は同様に樹皮をむかれたスギが目につきました。網をかけて、クマ剥ぎ対策をしているスギもありますが、全てをカバーするのは難しいので、林業関係者の方も被害が大変だろう……。
剥がされた樹皮下に残されたツキノワグマの歯と爪の痕
樹皮は一気に剥がされたようで、痕跡だけを見ても、勢いの余韻が今でも残っているかのよう。後ろでガサゴソと音がしたら、びっくりして飛び上がってしまうほどの緊張感と畏敬の念がこみ上げます。
樹皮をはがし、形成層の部分を門歯でこそぎとった際のささくれた痕が目立つ
ツキノワグマが「クマ剥ぎ」行動をとる理由は諸説あって、じつはあまりよくわかっていません。今回の痕跡を見る限り、形成層の部分をこそぎとっているので、おそらく腹を満たす!? 役割もあるのだろうけれど、なんともかんとも。
2020年はツキノワグマのフンなどを観察し、今年の春先は近所のクマ棚を観察しましたが、もっと数多くのツキノワグマのしわざ(フィールドサイン)を観察して、自分なりのツキノワグマに対する考察を、深めたいね〜。
(pöllö=ポッロ)
分 類 / 食肉目(ネコ目)クマ科 クマ属
和 名 / ニホンツキノワグマ(ツキノワグマ)
学 名 / Ursus thibetanus japonicus
体 長 / 1.1-1.5m
体 重 / 40-150kg
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