野生の植物は全て観察していて楽しいのですが、花に限定すると個人的好きなのは、リンドウ、キキョウ、セッコク、アケボノスミレ、そしてカザグルマです。
好きな花のひとつカザグルマは、野生のものは稀で、環境省の準絶滅危惧種に指定されているように、数を減らしているようです。
そんなカザグルマですが友人の案内で、埼玉県内ではじめて観察することができました。
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花びらに見える白い萼片はふつう8枚
カザグルマは日本固有種で、本州、四国、九州北部に分布する、つる性多年草です。石灰岩や蛇紋岩地など、森林植生がよく発達しない場所の林縁や湿った環境などに生えます。
初夏、枝の先に花柄が伸び、直径7~12cmもある大きな花を上向きに咲かせます。
白い花びらに見える部分は萼片で、ふつう8個あり、白以外にも紫または淡紫色、紅紫色など変化に富みます。花の中心には、多数の紫色で細長い雄しべが放射状に広がり、カザグルマのチャームポイントのひとつです。
5月の推しで紹介したハンショウヅルもそうですが、園芸品種のクレマチスのなかまで、カザグルマはその原種のひとつとされています。
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つる性の茎の基部は茶色く木質化する
葉は対生で、長い柄をもち、1回3出複葉または2回3出複葉。小葉は3~5個で卵形、先はとがり全縁、葉の表裏の葉脈上には毛が見られます。
葉柄や小葉柄は、物に触れると巻きつきます。
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とがった大きなつぼみ
上向きのとがった緑色のつぼみは、細かな毛におおわれていました。
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ひらきはじめたつぼみ
つぼみを見かけてから約7日後、萼片が白っぽくなり、ひらきはじめました。
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開花したカザグルマ
環境や天候にもよりますが、カザグルマはつぼみから10日ほどで開花しました。
花後、羽毛状の花柱をつけたタネ(痩果)が集まって、ふわふわの毛毬のようになることでしょう。実・タネマニアのpöllö=ポッロとしては、このカザグルマの変貌した秋の姿が待ち遠しいかぎりです。
分 類 / キンポウゲ目 キンポウゲ科 センニンソウ属
和 名 / カザグルマ(風車)
学 名 / Clematis patens
花 期 / 5-6月
生活型 / つる性多年草
分 布 / 本州〜九州