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記事: Blog2_Post

ゴキブリと共生する腐生植物「ギンリョウソウ」

更新日:11月20日

今年の夏にようやく見たかったゴキブリに関わる植物を観察することができました。

その名も、ギンリョウソウ(銀竜草)です。真っ白で竜を彷彿とさせる姿をした、美しい植物です。


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ギンリョウソウ(Monotropastrum humile


ギンリョウソウは「腐生植物」とよばれ、光合成が行わず主に菌類から栄養を得て生活しています。


緑色の葉っぱではないため、植物のように見えないかもしれません。葉っぱの緑色は光合成を行う細胞小器官である、葉緑体の色です。つまり、葉緑体がないため光合成を行わないのです。


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うなだれるように咲く銀竜草


見た目の美しさも良いですが、見たかった理由はそこだけではありません。それは、種子の散布方法です。


ギンリョウソウは、ムシに果肉の中の種子をフンとして散布してもらっています。ムシは果肉を食べれるし、ギンリョウソウは種を散布することができる相利共生の関係です。その中でも、モリチャバネゴキブリ多くの種子を運んでいるということがわかっています。


そう、ギンリョウソウは主にゴキブリによって種子散布を行なっているのです。


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モリチャバネゴキブリ (Blattella nipponica)


モリチャバネゴキブリは森林性で地表に多く生息し、主に落ち葉を食べる分解者です。また、飛翔能力も高いため、遠くまで種を運んでくれます。


ギンリョウソウの種子はとても小さく頑丈な皮を持っているため、ゴキブリに消化されずに体内を通り、フンに混じった状態で出ることができます。


今回は近くにモリチャバネゴキブリがいなかったため、フンを観察することが出来ませんでした。次にギンリョウショウを発見したら、果肉を食べるシーンとフンに含まれる種子の観察をしてみたいものです。


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紺色の柱頭。魅惑されちゃいます、


ギンリョウソウは、

 ①菌類から栄養を得ている「腐生植物」であり、

 ②主にモリチャバネゴキブリに種子散布をしてもらっている

というなんともユニークな生活をしている植物です。


ユウレイのように、ひっそりと林床に生えるギンリョウソウに注目です!

あと、モリチャバネゴキブリにも!!!


(はかせ)


pöllö=ポッロが書いた、同じく腐生植物タシロランの記事は


分 類 / ツツジ目 ツツジ科 ギンリョウソウ属

和 名 / ギンリョウソウ(銀竜草)

学 名 / Monotropastrum humile

花 期 / 4-8月

分 布 / 北海道〜九州、沖縄


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