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クズの葉で隠れ家をつくる幼虫

繁茂して、厄介な植物とされるクズですが、個人的にはいろいろな生きものを観察することができるので、お気に入りの植物のひとつです。


9月は、クズのつぼみや花に丸い穴を空けて食べるウラギンシジミの幼虫を観察しましたが、10月は、クズの葉で隠れ家(幼虫巣)をつくるコミスジの幼虫の観察です。

コミスジの幼虫巣。丸囲みは落下防止のために幼虫が吐糸で綴った箇所


クズの葉を見てまわると、葉先が垂れ下がり、枯れ葉が残った状態の“しわざ”が目につきます。これが、コミスジの隠れ家です。


隠れ家の枯れ葉が、なぜ落ちずに垂れ下がっているかというと、幼虫が落下防止のために、吐いた糸で綴っているからです。巧みですね〜。

コミスジの終齢幼虫


クズナツフジなどのマメ科植物が、コミスジの食草です。なので、食べながら隠れ家をつくるので、幼虫にとっては一石二鳥。しかも、幼虫は枯れ葉にそっくりなので、身を隠す隠蔽的擬態効果もあります。

すだれ巣をつくるコミスジの若齢幼虫(左)と身を隠したところ(右)


上の画像は、コミスジの若齢幼虫がすだれ巣をつくっていたところ、びっくりして隠れ家に頭隠して尻隠さずしたシーンです。

若齢幼虫の隠れ家。主脈の部分にいることが多いが目立たない


コミスジの隠れ家は、初夏から晩秋まで観察することができるので、興味のある方はぜひ、クズの葉で見つかる、幼虫の隠れ家を観察してみてはいかがでしょうか。



分 類 / チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科

和 名 / コミスジ

学 名 / Neptis sappho

出現期 / 4-10月(成虫)

前翅長 / 23-30mm

分 布 / 本州〜九州


分 類 / クズ目 クズ科 クズ属

和 名 / クズ(葛)

学 名 / Pueraria lobata subsp. lobata

花 期 / 7-9月

生活型 / つる性多年草

分 布 / 日本全土

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