草原や林縁を覆うように生えた、秋の七草のひとつ「クズ」の花が咲きはじめました。
クズの花は下から順番に咲き、上の方が咲きほこるころには、下には鞘がつくられます。
クズの花。旗弁の付け根にある黄色いマークがハニーガイド
マメ科植物らしい蝶形花には、昆虫に蜜の場所を教えるための黄色いハニーガイド(蜜標)があり、チョウ類やハチ類などが頻繁に訪れます。
クズのつぼみに空いた丸い穴
そんなクズの花を観て回ると、つぼみや花に丸い虫喰い痕が見つかります。
この、きれいに空いた穴のしわざを残したぬしは、威嚇の際に尾部突起から線香花火のような毛束をフリフリする、ウラギンシジミの幼虫。
クズのつぼみとウラギンシジミの幼虫。丸囲みは毛束を出して威嚇中
丸い穴のしわざがあるつぼみをよく観ると、
Bingo! お目当てのウラギンシジミの幼虫です。
つぼみとそっくりな色で、上手に隠蔽的擬態(mimesis)をしています。
ウラギンシジミの幼虫。左が頭部で右が尾部
身近な場所に繁茂するクズですが、つぼみや花に丸い穴が空いていたら、ぜひ、ウラギンシジミの幼虫を探してみてください。
ウラギンシジミの成虫に関しては、冬越しのお話で改めてご紹介します。
分 類 / チョウ目(鱗翅目)シジミチョウ科
和 名 / ウラギンシジミ
学 名 / Curetis acuta
出現期 / 3-4月・6-10月(成虫)
前翅長 / 19-27mm
分 布 / 本州〜九州・沖縄
分 類 / クズ目 クズ科 クズ属
和 名 / クズ(葛)
学 名 / Pueraria lobata subsp. lobata
花 期 / 7-9月
生活型 / つる性多年草
分 布 / 日本全土
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