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執筆者の写真pöllö=ポッロ

TKS調査の副産物“スゲハムシ”

産卵地の保全作業なども含めると、約5か月におよぶ長期タスクでしたが、4月下旬、飯能市におけるトウキョウサンショウウオ(以降TKS)の卵嚢調査が無事終了。今年も新たな産卵地が複数か所増え、ぼちぼち成果が出たかしら。

スゲの花粉に集まるキヌツヤミズクサハムシ


TKSの調査中に副産物として、アカハライモリの生息地を3か所発見することができたのは思いがけない幸運でしたが、スゲハムシことキヌツヤミズクサハムシの生息地を見つけることができたのは、ほんと嬉しいサプライズ。


4月中旬の夜、黒マンバアンフィーと3人で、飯能市の市街地近くにある谷戸に入りました。ここは、いかにもTKSが生息していそうな環境ではあるものの、毎年空振りに終わっているポイント。

キヌツヤミズクサハムシはさまざまな色彩をもつ


今年も「卵嚢は見つからないかもしれないけれど、見つからないことも重要なデータだから入るか……」と、ライト片手に湿地を歩いていると、目の前にあるスゲの花に、銅色、赤色、青色、黄色、黒色と、たくさんの金属光沢をした甲虫が登場。


「おぉ〜スゲハムシがいるじゃん!?」


甲虫の正体は、キヌツヤミズクサハムシ

個人的にはかなり嬉しい発見で、同行した2人に伝えたものの、残念ながら喜びを分かち合うことはできず(笑)


キヌツヤミズクサハムシは、埼玉県だと所沢、入間、嵐山、小川、越生、寄居、皆野、秩父などから見つかっていますが、飯能市でまだ見つかっていなかったはず!?

キヌツヤミズクサハムシが見つかったスゲの小さな群落


数日後、生息状況を確認するため、昼間にポイントを訪れてみると、数メートル範囲のスゲの小さな群落に、たくさんのキヌツヤミズクサハムシが見つかりました。


せっかくなので周辺を散策すると、100メートル範囲に3つのスゲの小さな群落があり、おもしろいのが3つの内、1つ目はキヌツヤミズクサハムシが確認できず、2つ目がぱっと見、数十頭いる大産地、3つ目は5頭しか確認ができませんでした。

もっとも多い銅色のキヌツヤミズクサハムシ


キヌツヤミズクサハムシは、分布が局所的とは聞いていたけれど、狭い範囲でも局所的な発生をしているとはね。


TKS調査は腰を屈めてぬかるみを歩く……文字通り腰が折れる作業だったけれど、おかげで新しいフィールドが開拓できたので、まぁ、報われたかしら。

絶滅種のブシミズクサハムシの上翅の化石


ちなみに、入間川の河原に露頭する「仏子層(鮮新世後期~更新世前期)」からは、キヌツヤミズクサハムシに近いなかまとされる、ブシミズクサハムシの化石がでます。


構造色をもつ上翅は、約150万年の時をこえても、今尚、美しい。


分類 / 甲虫目 ハムシ科 ミズクサハムシ属

和名 / キヌツヤミズクサハムシ(スゲハムシ)

学名 / Plateumaris sericea

体長 / 6.5-9mm

分布 / 北海道〜九州

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