3月下旬から4月上旬ごろに降り続く雨のことを、花が咲くのを促す雨という意味で「催花雨」といいます。飯能のトウキョウサンショウウオ(以下TKS)も、2月下旬ごろからはじまった産卵が、催花雨に促されてピークを迎えます。
今日(3月24日)は、やや暖かい雨が降ったので、日が暮れてから黒マンバと魚好き高校生のU君と合流し、3人でTKSの産卵状況を確認しにポイントを巡ってきました。
暖かい雨ではあるが、さすがに濡れると寒い……
エコツアーで保全活動をしたTKSポイントには、成体が数十個体集まり、卵嚢もかなりの数が確認できました。無事、保全活動の成果が出ている予感がします。
ちなみに、4月15日土曜日には「飯能にくらすトウキョウサンショウウオの生態を学ぼう! 卵のうのカウント調査編」というエコツアーを開催するので、ご興味のある方はぜひご参加くださいませ。卵嚢数を確認するなど、実際に調査をしながらTKSの生態について学ぶイベントです。
おなかがパンパンに膨らんだトウキョウサンショウウオのメス
おなかがパンパンに膨れたメスや、水中に沈んだ枝先にぶら下がり、メスを待つオスを観察していると、U君が突如、雨音をかき消すほどの、興奮気味な大声を上げる。
「あれトウキョウサンシュウオじゃない……アカハライモリがいます!」U君
「えっ! なんてこった!」pöllö=ポッロ
「ほげ〜」黒マンバ 相変わらず黒マンバは反応がうすい……。
水中を移動するアカハライモリ
今までに幾度となく通ってきた休耕田ですが、まさかアカハライモリがいたとは。これは、ひじょうに嬉しい誤算。
水辺を整備したことで、姿を現したのかもしれません。結局、1頭のみの確認でしたが、これからはアカハライモリの存在も意識して保全作業を進めていかなくては。
TKSの産卵環境を調査することで、副産物として今までに4箇所、新たなアカハライモリの生息地を確認できました。
同じフィールドへ幾度も足を運ぶことの大切さ。身に染み入る瞬間です。
分類 / 有尾目 サンショウウオ科 サンショウウオ属 和名 / トウキョウサンショウウオ 学名 / Hynobius tokyoensis 全長 / 80-130mm 分布 / 本州(茨城県と群馬県を除く関東地方)
分類 / 有尾目 イモリ科 イモリ属
和名 / アカハライモリ
学名 / Cynops pyrrhogaster
全長 / 70-140mm
分布 / 本州・四国・九州(日本固有種)
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