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記事: Blog2_Post
執筆者の写真pöllö=ポッロ

秋の鳴く虫スタート

春も夏も鳴く虫はいますが、やっぱり鳴く虫のイメージは「秋」です。

暦の上ではもう秋なので、毎年通う近所のクツワムシポイントに出かけると、林の中の草むらで、前翅を震わせて鳴くオスがいました。

鳴くクツワムシのオス


居るのがわかっていても、姿を観察できるとホッとします。ある日突然、生息環境もろとも無くなることもあるので・・・・・・来年も観察できるかどうか、ほんと一期一会です。


鳴く虫といえば、ここ数年、飯能でよく見かけるようになったのがヒガシキリギリスです。

20年前には、限られたポイントでしか観察することができませんでしたが、今では草丈のある草原であれば、ふつうに見かけるようになりました。

鳴くヒガシキリギリスのオス


昼間、日当たりの良い草むらで「ギーッチョン」と大音量で鳴くヒガシキリギリスの姿は、まさに鳴く虫の王様です。ではこの鳴く虫の王様は、どのようにして鳴いているのでしょうか? 前翅を震わせているところを見ると、音を出すヒミツは、この左右で形のちがう前翅にかくされているようです。

ヒガシキリギリスの前翅の裏側。左右で形がちがう


これは、ヒガシキリギリスの前翅を裏側(左が右前翅で右が左前翅)から見たところです。

左前翅には、ヤスリ状のぎざぎざが約40個並んでいます。前翅を動かすことで、右前翅にあるまさつ片(突起)が、ヤスリを1秒間に約70往復します。

ということは、1秒間に約70×2×約40=約5600回、ヤスリとまさつ片がこすり合わされて音を出していることになります。さらに、右前翅にある発音鏡とよばれる窓のようなところがスピーカーの役割をして、音を大きく響かせています。

オスとメスの前翅のちがい


そもそも鳴くのは、オスがメスの気を引くための求愛ソング。なので、一部の種をのぞけば、鳴くのは基本的にオスです。そのため、前翅をこすり合わせて音を出す鳴く虫は、メスと比べて前翅が複雑な形をしています。

唱歌「蟲のこえ」に登場する鳴く虫たち。キリギリスとコオロギは新旧


鳴く虫「秋」のイメージなのは、唱歌「蟲のこえ」で刷り込まれているからでしょう。

ちなみに、ヒガシキリギリスはどちらかというと、夏の鳴く虫ですが。


唱歌「蟲のこゑ」

 1. あれ松蟲が鳴いてゐる。

    ちんちろちんちろ ちんちろりん。

   あれ鈴蟲も鳴き出した。

    りんりんりんりん りいんりん。

   あきの夜長を鳴き通す

    あゝおもしろい蟲のこゑ。

 2. きりきりきりきり きりぎりす*

   (*きりぎりすは、現代版ではこおろぎ)

    がちやがちやがちやがちや くつわ蟲

   あとから馬おひおひついて

    ちよんちよんちよんちよん すいつちよん

   秋の夜長を鳴き通す

    あゝおもしろい蟲のこゑ。


「蟲のこえ」に登場する鳴く虫のうち、飯能ではマツムシ以外観察することができました。飯能では、残念ながらマツムシは観察できないと思いますが、埼玉県内の他の地域には生息しているので、いつか観察してみたいものです。


(pöllö=ポッロ)


分類 / バッタ目 キリギリス科

和名 / ヒガシキリギリス

学名 / Gampsocleis mikado

体長 / 約40mm

分布 / 本州(青森県以南〜岡山)・淡路島


分類 / バッタ目 キリギリス科

和名 / クツワムシ

学名 / Mecopoda nipponensis

体長 / ♂33mm・♀36mm

分布 / 本州(関東地方以西)〜九州


分類 / バッタ目 キリギリス科

和名 / ハヤシノウマオイ

学名 / Hexacentrus hareyamai

体長 / 25-30mm

分布 / 本州〜九州


分類 / バッタ目 コオロギ科

和名 / エンマコオロギ

学名 / Teleogryllus emma

体長 / 25-30mm

分布 / 北海道〜九州


分類 / バッタ目 コオロギ科

和名 / スズムシ

学名 / Homoeogryllus japonicus

体長 / 15-17mm

分布 / 本州〜九州(北海道は移入)

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