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樹液レストランに集まるカナブン

樹液レストランに集まる昆虫で、まっ先に挙がる種は、カブトムシやクワガタムシ、オオムラサキですが、個人的にはカナブンがいると嬉しくなります。理由は、「ド」が付くほどの普通種で、こういった当たり前にいる生きものが、当たり前にいることが嬉しくなるからです。

樹液を吸うカナブン


7月に入ると、カナブン樹液レストランでよく見かけます。樹液に頭部をつっこみ、ブラシ状の毛をもつ2本の口器を使い、毛細管現象を利用して樹液を吸いとっていきます。

カナブンの口器


口器は上の画像のように、ふだんはしまわれていて、よく見えませんが、いざ樹液を吸うときには、ブラシのついた2本の口器をワイパーのように動かして、舐めとります。

飛び立つカナブン


カナブンは、カブトムシやクワガタムシと同じコガネムシのなかまですが、飛び方に特徴があります。それは、上翅を閉じたまま、後ろ翅をわずかなすき間から伸ばして、俊敏に飛び回ることができることです。これは、カナブンが属するハナムグリのなかまの特徴でもあります。

カナブンの体色バリエーション


カナブンの魅力のひとつに、全身が金属光沢におおわれていることも然る事ながら、体色のバリエーションの多さにあります。茶色の強い個体や、濃緑色の個体など観察してきましたが、いつか青色紫色の強い個体を、見てみたいものです。

アオカナブン


樹液レストランに集まるカナブンを観察していると、アオカナブンが紛れ込んでいることがあります。カナブンにも、アオカナブンのような青緑色の強い個体もいるので、馴れるまで「どっち?」と迷うことがあります。では、カナブンアオカナブンとの違いや見分けるポイントはどこでしょう。

左がカナブンで右がアオカナブン


まず第一印象として、カナブンと比べてアオカナブンは細身です。とは言っても、個体差がありますし、見比べないと曖昧です。なので、しっかりと確認したい場合はひっくり返して、後ろ脚の付け根(後脚基節)を見ます。大きく離れているのがカナブンで、隣接しているのがアオカナブンです。また、胸部にある突起を比べると、先端が太くて丸いカナブンに対して、アオカナブンは細長く突出します。

クロカナブン


8月中旬になり、樹液レストランに集まる昆虫たちも少なくなってきましたが、今はカナブンアオカナブンよりも、クロカナブンを見かける機会が増えてきました。カナブンと比べるとやや大型で、漆黒色をしたクロカナブン……かなりカッコいいです(笑)


他にもカナブンと同じなかまで、樹液レストランに集まるシロテンハナムグリやシラホシハナムグリ、ちょっと変わったアカマダラコガネなどがいます。来年はそれらの種も、じっくりと観察してみたいね。


(pöllö=ポッロ)


分 類 / 甲虫目(コウチュウ目)コガネムシ科

和 名 / カナブン

学 名 / Pseudotorynorhina japonica

体 長 / 22-30mm

分 布 / 本州〜九州


分 類 / 甲虫目(コウチュウ目)コガネムシ科

和 名 / アオカナブン

学 名 / Rhomborhina unicolor

体 長 / 22-29mm

分 布 / 北海道〜九州


分 類 / 甲虫目(コウチュウ目)コガネムシ科

和 名 / クロカナブン

学 名 / Rhomborhina polita

体 長 / 25-32mm

分 布 / 本州〜九州

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