夜のアオジシ谷に、光を灯して
- pöllö=ポッロ

- 3 日前
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更新日:1 日前

夜のアオジシ谷に漏れるライトトラップの光
7月19日のイベント「飛んで灯に入る夏の虫 〜ライトトラップで昆虫を観察しよう〜」の下見もかねて、ライトトラップを行いました。
夜のアオジシ谷にライトをともすと、暗い森の中に、ぽっと小さな観察の場が生まれます。寒冷紗に光が広がり、しばらく待っていると、どこからともなく虫たちがやってきます。
ライトトラップは、光に集まる昆虫の性質を利用した観察方法です。光に集まる……とはいうものの、明かりが好きで集まってくるわけではありません。

モリアオ池横に設置したライトトラップ
夜空を飛ぶ昆虫の中には、月の明かりを背中に受けて飛ぶことで、水平を保つものがいます。ところが、月よりもずっと近くにある人工の灯りを背中に受けると、水平を保つことができなくなり、とくにガを観ていると、ぐるぐると回転しながら飛んできて、それがよくわかります。
夜に活動するガや甲虫のなかまなどの多くが、ライトに引き寄せられるように集まってくるのには、その性質が関係していると考えられています。

ライトトラップにやってきたヒメクロゴキブリ。翅の幾何学模様がかっこいい
この背中に受けて飛ぶのとは別に、昆虫の中には、光に向かって移動する「正の走光性」をもつものがいます。一方、光を避ける性質は「負の走光性」と呼ばれます。明るい場所を避け、暗いすき間や物陰に向かう生きものもいます。
たとえば、ゴキブリというと、光を避けるイメージをもつ人も多いかもしれません。ところが、この日のライトトラップには森林性のゴキブリ、ヒメクロゴキブリがやってきました。
「ゴキブリは負の走光性では?」と思っていたので、これはちょっとした驚きでした。生きものの行動は、ひとことで決めつけられないのだなと感じます。同じグループの生きものでも、種類によって見せる行動は変わるのですね。

ライトトラップにやってきたコバネカミキリ。後脚の脛節が扁平でかっこいい
そして、個人的にとてもうれしかったのが、コバネカミキリがやってきたことです。
コバネカミキリは、名前の通り、翅の雰囲気が少し独特なカミキリムシです。長い触角、しっかりした脚、落ち着いた色合い。派手さで目を引く虫ではないかもしれませんが、近くで見ると、体のつくりのかっこよさがじわじわ伝わってきます。
ライトトラップの面白さは、「何がやってくるかわからない」ことにあります。昼間にはなかなか出会えない虫。ふだんは葉の裏や木の幹、草むらにひそんでいる虫。夜の森で活動している小さな命が、光の前に少しだけ姿を見せてくれます。
遠くから見るライトトラップは、森の中に小さな灯台が立っているようでした。近づいて見ると、その光のまわりに、虫たちの小さな物語が集まっていました。
光に向かう虫。光を避ける虫。来ると思っていなかった虫。会えたらうれしい虫。
夜のアオジシ谷には、まだまだ知らない出会いがありそうです。観察会本番でも、どんな生きものがやってくるのか、今からとても楽しみです。
*ライトトラップに興味のある方は、下記より参加申し込みを受け付けています。
分 類 / ゴキブリ目 チャバネゴキブリ科
和 名 / ヒメクロゴキブリ
学 名 / Sorineuchora nigra
前翅長 / 約8mm
出現期 / 6-8月
分 布 / 本州〜九州
分 類 / コウチュウ目(甲虫目) カミキリムシ科
和 名 / コバネカミキリ
学 名 / Psephactus remiger remiger
前翅長 / 12-30mm
出現期 / 5-9月
分 布 / 北海道〜九州




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