「見つけよう! 冬の生きもの観察ツアー」を行いました。このツアーは、冬越しをする隠れた生きものを探しにいくという内容です。
参加者は、大人3人、学生1人、子どもが2人。スタッフははかせと蛇メタ師匠です。
座学中のはかせ
まずは座学から。なぜ生きものが冬越しをするのか、冬眠をする生きものの違いなどについて学びました。
そして、あるゲームをしました。それは……
ゲームの様子。オオムラサキの成虫でどこに行くか考え中。
「オオムラサキの一年を体験する」というものです。参加者にはオオムラサキの写真をくばり、エノキの絵の上で春→夏→秋→冬をすごしてもらいました。幼虫のときにはエノキの葉を、成虫のときには樹液を食べること。そして、冬はエノキの足下の落ち葉で越冬することを、写真を動かしながら学んでいきました。
ゲームを踏まえ、落ち葉や木の幹、葉の裏など昆虫たちが隠れているポイントを伝えたうえで実際に探しに行きます。
ケヤキの樹皮の裏で越冬するアリを観察中
ゆっくりと歩きながら生きものを探していると、手すりの上ではシャクトリムシ(シャクガの幼虫)、葉の上ではクモヘリカメムシの成虫、葉の裏ではアゲハチョウの蛹など多くの昆虫を発見。
これには参加者も「普段は知らないだけで、こんなに多くの生きものがいるんだ」と驚いていました。
さらに先に進んでいくと、そこにはエノキが。
落ち葉をひっくり返し、オオムラサキの幼虫(2枚目)探し
みんなで飛びつくように落ち葉をガサガサ。そうです、ゲームで学んだことを活かしてオオムラサキの越冬幼虫を探しています。しかし、オオムラサキも上手に擬態しているため、なかなか見つけること出来ません。
そして残念ながらタイムアップ。
結果、参加者は見つけることが出来ませんでしたが「また今度探してみる」と楽しんでもらえました。
鳥類の冬越しの栄養源となるビワコカタカイガラムシモドキを解説中
参加者もどんどんと生きものを見つけていきます。テントウムシの成虫やカマキリの卵鞘、ミノムシ(ミノガの幼虫)を観察し、蛇メタ師匠のヘビとUMAの話に花を咲かせながら最後の目的地に向かいます。
クヌギカメムシの一種の卵塊(二枚目)
最後はクヌギの幹の隙間に隠されたクヌギカメムシの卵です。この卵は糖分が多く含まれたゼリー状の物質で覆われています。そして、2月ごろに孵化する幼虫が成長するための栄養源になります。
そんな母の愛情に包まれたカメムシの卵を見守り、ツアーは終了しました。
冬の生きものは少ないように感じますが、探してみると動いていないだけでたくさんの生きものがいます。冬だからこその魅力がある生きものとのかくれんぼ。楽しんでみてはいかかでしょうか。
(はかせ)
分 類 / チョウ目タテハチョウ科
和 名 / オオムラサキ
学 名 / Sasakia charonda
前翅長 / 43~68mm
出現期 / 7~8月
分 布 / 北海道~九州
*前翅長、出現期は成虫のもの
分 類 / カメムシ目クヌギカメムシ科
和 名 / クヌギカメムシ(の一種)
学 名 / Urostylis sp.
体 長 / 約12mm
出現期 / 6~12月
分 布 / 本州、四国、九州
*体長、出現期は成虫のもの
ゆ~っくり歩きながら、森の生き物に気づいてく…とても新鮮で素晴らしい体験でした。
ただ忙しく過ぎていく日常生活を変えるヒントをもらったように思いますm(__)m