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記事: Blog2_Post
執筆者の写真pöllö=ポッロ

乞食苺と和名がついた木イチゴ

図鑑などで見たことがあるけれど、実物と「はじめまして」をした際に、名前が思い出せない動植物っています。

ぱっと和名が出てこなかった木イチゴ


まさに、このオレンジ色木イチゴが、それです。


「アレだよな〜」と、喉に刺さった小骨のように気になりつつも、すぐには解決できないので、とりあえず実の特徴をチェック。


比較的大型の木イチゴで、実の長さや幅は10mm以上あり、触ってみると、ぎっしり感がなく、実の中身はスカスカ。

奇数羽状複葉で茎には赤紫色の長い腺毛と平たいトゲ


実だけでなく、奇数羽状複葉の葉や、茎にある長い線毛と平たいトゲなどもチェック。分岐した枝は倒れ、高さは140cmほどの小低木。


それと、忘れてはいけないのが生育環境。同定の重要なポイントになるので、辺りをキョロキョロしておく。林縁の日当たりの良い場所……かな。

実(偽果)は甘さ抑え気味で美味


持ち帰った実を撮影して、食べてみるとなかなかの美味


さっそく図鑑で調べてみると、コジキイチゴと判明。喉に刺さった小骨がとれてスッキリ。解説を読むと、日本では暖温帯に生育し、初夏に実がなると書いてあるけど……まぁ、実以外の特徴も読み進めると、やはりコジキイチゴで間違いなさそう。

実を割ってみると中の空洞が目立つ


ちなみに、コジキイチゴは漢字で乞食苺と書きます。なかなかの和名がつけられていますが、これは当て字らしく、もともとは「甑(こしき)」が「こじき」に変化した説があるらしい。


確かに実を割ると中がスカスカで、穀物を蒸すために使った器具「甑」に喩えたと言われれば納得かも。でも、他の木イチゴも案外とスカスカだけどね。


こんな感じで知らないことを調べてみると、芋づる式にいろいろな知識の泉におぼれることができて、めちゃくちゃ楽しいし、コジキイチゴに感謝。


これだからフィールドワークはやめられません!


分 類 / バラ目 バラ科 キイチゴ属 和 名 / コジキイチゴ(乞食苺) 学 名 / Rubus sumatranus 花 期 / 5-6月 生活型 / 落葉小低木 分 布 / 本州(東海道以西)〜九州

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