3月に入ると暖かい日が増え、サクラが咲きはじめるのも、そう遠くない時期になりました。サクラといえば、ムササビの代表的なしわざの、サクラの冬芽食痕。
ムササビが暮らす社寺を訪れると、サクラの木の下には、ムササビに齧り落とされた枝とフンが大量に落ちています。
道の上に多量に残されたムササビのサクラ冬芽食痕
フンもいっぱい!
なぜこれを、ムササビのしわざと判断するのかというと、ムササビは齧歯目(ネズミ目)リス科に分類されるケモノで、鋭利な前歯(門歯)をもちます。なので、ムササビに齧られたサクラの枝は、ナイフで切ったようになるからです。
太い枝も齧り切ってしまう
また、サクラの枝だけではなく、冬芽の芽鱗も一緒に落ちています。冬芽は6mmほどですが、ムササビが冬芽の中身だけを器用に食べていて、おどろかされます。
冬芽を齧り採られたサクラの枝と散乱する冬芽の芽鱗
冬芽を食べるためだけに、なぜわざわざ枝まで齧り切るのか……。それは、ムササビが齧歯目(ネズミ目)のケモノで、生えかわることのない、一生伸び続ける前歯(門歯)をもつことが理由のひとつです。
ムササビは、歯が伸び過ぎて食べることができなくなってしまわないように、日常的にかたいものを齧って歯を削ることが、生きて行くために必要な行動なのです。
ケモノのしわざにご興味のある方は、4月23日に開催するエコツー「春の森で発見! フィールドサインからのぞき見る野生動物のくらし」にご参加ください!
(pöllö=ポッロ)
分 類 / 齧歯目(ネズミ目)リス科 ムササビ属
和 名 / ムササビ
学 名 / Petaurista leucogenys
頭胴長 / 27.2-48.5cm
尾 長 / 28-41.4cm
体 重 / 495-1250g
分 布 / 本州〜九州
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