フィールドワークをしていると様々な生きものに会いますが、その中には危険動物と言われる生きものがいます。今回は危険動物として身近な存在でもあるマダニについてです。
タカサゴキララマダニ(Amblyomma testudinarium)の成虫♂
マダニというと嫌なイメージがあるかも知れません。マダニはダニの仲間で、野生のシカやイノシシ、イヌ、ヒトなどに寄生をして吸血をします。時には、ウロコの隙間に潜り込み、ヤマカガシに寄生していることも。様々な生きものに吸血をすることもあり、マダニが媒介する感染症もあります。
マダニは節足動物門クモ鋼ダニ目マダニ科に属する動物です。昆虫ではないため、脚は4対8本あります。個人的にはゴツゴツとした硬そうな体と脚が動く要塞のようで好きです。
動物の接近の感じ取り第1脚をあげている様子
マダニはススキなどの葉の裏で見る機会が多く、動物が近づくと写真のように第1脚をあげてくっつきます。第1脚にはハラー氏器官という二酸化炭素や熱を感知する感覚器官があり、動物が近づくのを感じ取ることができます。
そのため、息を吹きかけると第1脚をあげる姿を観察することができます。必死に脚を動かす姿がかわいいのでオススメです。
マダニの腹側
動物にくっついたマダニは皮膚を切り裂き、口下片というギザギザした針を突き刺して体を固定し溜まった血を吸います。中にはセメント物質を分泌し、さらに固定を強固にする種類もいます。唾液には麻酔物質が含まれているため寄生主は気づくことができません。吸血する時間は長く、数日にかけて吸血を行うケースもあるそうです。
また、成虫のメスは飽血(満腹の状態)になると最大で20mmほどに膨らみますが、成虫のオスは背面を背板が覆っているためメスほど大きく膨れません。
僕はまだ吸血されたことは無く、感染症によっては最悪の場合死に至ることもあります。そのためヤマビルのときのように自分から吸血してもらうことはしませんが、いつか噛まれた時にはしっかりと観察したいものです。
ヤマビルに吸血してもらった時の記事はこちらから
(はかせ)
分類 / 節足動物門 クモ綱 ダニ目 マダニ科 キララマダニ属
和名 / タカサゴキララマダニ
学名 / Amblyomma testudinarium
体長 / 7mm(吸血前)
時期 / 4月~10月
分布 / 本州~南西諸島
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