冬になると「生きものが少ない!」と、思いがちですが、表に出てくる生きものが春や夏に比べると目立たないだけで、そもそもの命の数は、そう大きくは変わりません。
なので、冬は観察する側が、生きものの生態に興味を持っていたり、積極的に探すなどすれば、案外と簡単に生きもの観察ができます。
例えば、一部の冬ごもり中の種を除けば、この時期はケモノ観察にうってつけですし、何よりも、草木が鬱蒼とする夏よりも、観察がしやすかったりもします。
エノキの根もとに積もった落ち葉をめくると……
この時期のド定番越冬昆虫といえば、オオムラサキとゴマダラチョウの越冬幼虫。
この2種の食草は、エノキやエゾエノキですが、飯能では11月下旬、黄葉したエノキの葉が茶色く枯れると、樹上にいた幼虫は移動して、木の根もとに積もった落ち葉の裏について越冬します。そのため、落ち葉をめくると、越冬幼虫とご対面することができます。
エノキの枯れ葉裏についたオオムラサキ(左右)とゴマダラチョウ(中央)の越冬幼虫
ただし、エノキの根もとの落ち葉を闇雲にめくっていれば見つかる訳ではなく、また、闇雲に探しても、越冬場所を荒らすことになってしまいますので、観察する場合は、探すポイントを絞り込み、環境を荒らさないことが鉄則です。
越冬幼虫が見つかるポイントは、温度の変化の少ない環境や方角を探すことです。そのポイントさえ抑えれば、容易にご対面することができたりします。
オオムラサキ(メス・オス)とゴマダラチョウ(夏型)の成虫
越冬幼虫を無事に観察し終えたら、必ず元の場所に落ち葉と共に戻してあげましょう。しっかり戻しておかないと、越冬に失敗して死んでしまったり、鳥などの捕食者から見つかりやすくなってしまいます。
越冬幼虫を観察できた場所の近くでは、初夏になればきっと、立派な成虫となって飛び回るオオムラサキとゴマダラチョウとも、ご対面できると思います。
(pöllö=ポッロ)
分 類 / 鱗翅目(チョウ目)タテハチョウ科
和 名 / オオムラサキ
学 名 / Sasakia charonda
前翅長 / 45-60mm
出現期 / 6〜8月
分 布 / 北海道南西部〜九州
*スペックは成虫のもの
分 類 / 鱗翅目(チョウ目)タテハチョウ科
和 名 / ゴマダラチョウ
学 名 / Hestina persimilis
前翅長 / 35-42mm
出現期 / 5〜6月(春型)・7〜8月(夏型)
分 布 / 北海道〜九州
*スペックは成虫のもの
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