飯能市某所にある、人知れず朽ちかけていた側溝でトウキョウサンショウウオの卵嚢を見たのは、今から約20年前。こんなところに産卵環境があるのか……と、当時は思わぬところで、お宝を発見したような嬉しさがありました。
発見当時の側溝に産卵された卵嚢(30セット以上)
毎年4月、卵嚢の数を確認しに5年ほど通っていると、側溝はじょじょに土砂で埋もれてゆき、水場が減り、乾燥化が進むことで、産卵する卵嚢数も減っていきました。
その後、十数年、毎年11月になると、ひとり側溝を掘り、水場を確保する作業を続けてきました。一昨年からは、モリマナメンバーも産卵環境の保全作業に参加するようになり、昨年からは、講師をするHANNOアフタースクールの子どもたちにも、環境学習の一環として、保全作業を手伝ってもらえるようになりました。
長く続けていると、活動を共にしてくれる仲間が増えてくれること、ほんと嬉しいね。
そんなこんなで、今年も環境保全作業の時期になったので、皆既月食のあった11月8日の夜、黒マンバとアンフィーと3人で、側溝のまわりの整備作業をはじめました。
産卵場所の拡散と確保をするため篠竹を刈り取る黒マンバ
今年からは、飯能市道路公園課の許可を得たので、産卵場所の水場を確保するため、道路からは見えない場所を拡張する保全作業ができます。
まずははじめの一歩。生い茂った篠竹などを刈り取り、スペースづくりからスタート。
側溝のまわりを整備するアンフィー
もくもくと作業を続けていると、気がつけば皆既月食も終わり、夜空には見慣れた月の姿。
皆既月食は終わり、夜空には満月が
ある程度の作業スペースが確保できたので、次のステップは水の溜まりそうな場所や、森からトウキョウサンショウウオが産卵しに訪れるルート、また、上陸した幼体が森へ向かうルートなどを調べ、より良い環境イメージをつくること。もちろんトウキョウサンショウウオだけではなく、そこにくらす他の生きものへの配慮も必要です。
篠竹の刈り取が半分終わった……かな(後日、黒マンバが撮影)
作業が進んだ産卵環境(後日、黒マンバが撮影)
来年の1月までには、かたちにしなければね。
ちなみに、この場所ではありませんが、来年の2月と4月、トウキョウサンショウウオの生息地保全と卵嚢調査のエコツアーを開催いたしますので、ご参加お待ちしています!
(pöllö=ポッロ)
*2020年春、モリマナで行ったトウキョウサンショウウオの調査記録(5.5.1)は、
コチラで閲覧することができます。
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トウキョウサンショウウオ研究会
分類 / 有尾目 サンショウウオ科 サンショウウオ属
和名 / トウキョウサンショウウオ
学名 / Hynobius tokyoensis
全長 / 80-130mm
分布 / 本州(茨城県と群馬県を除く関東地方)
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