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記事: Blog2_Post
執筆者の写真蛇メタ師匠

ヘビの体のウロコ 〜体鱗(たいりん)について〜

ここ最近続いてますヘビネタ。

私、蛇メタ師匠がよくフィールドで叫んでいる「体鱗たいりんについて今日は書こうと思います。


 実は、ヘビの種類によってウロコの枚数というのはある程度決まっているのですが、ウロコを数えるにあたり、基本中の基本となるのが体鱗の数です。

体鱗とは、体の側面から背中側を通り反対の側面まで覆っている細かなウロコのこと。


色彩や頭の形などでヘビの種類を同定するということが、一般的に行われてますが、同定するための情報としては不完全なこともあり、同定間違いを引き起こす原因になることもあります。


時に標準的ではない色彩のヘビ、怒って頭を三角形にするヘビなどというのは、思っている以上に多いものです。

色あせしたヘビの標本を同定するとき、脱皮殻から種を同定するとき、この体鱗列数(たいりんれつすう)は非常に大きな情報を与えてくれます。


ヘビ類は基本的に斜め配置の体鱗で、このウロコを斜めもしくはジグザグに数えます。

体鱗の数え方


ただ、やみくもに数えてもダメで、体鱗列数の安定している胴体の中央部にてカウントします。

※胴体中央部とは、頭部後方から総排出腔(そうはいしゅつこう)までの体の部分のおおよそ真ん中付近を指します。


上の図でよく見ると、上方で17列、下方で15列になっています。図の横に

「3+4=3(125)」

とか

「-4(124)」

書かれていますが、数学上ではありえないようなこの数式、

前者は「腹板の125枚目の位置で3枚目の体鱗列と4枚目の体鱗列が3枚目の体鱗列になっています」

後者は「腹板の124枚目の位置で4枚目の体鱗列が小さくなり消失します」

という意味になります。

こんな感じで胴体の前方や後方では、ウロコの数が増減しており、胴体中央部の列数だとこの増減がほとんど無いため、一つの基準値となるわけです。

ただし、上級者になれば、どこで体鱗が増減しているかも、カウントしちゃいます。(実はこれで個体識別もできちゃったりします。)


この体鱗列数数によって、ある程度の種をざっくりとしぼることができます。

本州8種の胴体中央部の体鱗列数は多い順に


・アオダイショウ:23ないしは25列

・タカチホヘビ:23列

・ジムグリ:21列

・ニホンマムシ:21列

・シマヘビ:19列

・ヒバカリ:19列

・ヤマカガシ:19列

・シロマダラ:17列

となります。


ここの段階で、胴体中央部の体鱗列数数が25列だと間違いなくアオダイショウ(23の場合が多いですが)、17列だとシロマダラとなるわけです。


では、「21列同士のジムグリとニホンマムシ、19列のシマヘビ、ヒバカリ、ヤマカガシだとどうなる?」

という疑問が出てくると思います。

その時は腹板(ふくばん(お腹側の幅の広いウロコ、蛇腹ですね))の数や体鱗の構造(体鱗の前後に走る直線的な盛り上がり「キール」の有無や強弱、体鱗の後端にある鱗孔の有無や数、形状)をしっかりと確認するとわかります。

例えば19列の場合では、

・体鱗に弱いキールがあり鱗孔(りんこう)が2つあるものであればシマヘビ、

・背中側の体鱗では強いキールがあり、ウロコの先端の形状が前方にむかってわずかに凹むのがヤマカガシ、

・それ以外はヒバカリといった感じです。



シマヘビの体鱗の後端の↑で示したのが鱗孔(りんこう)。


ヤマカガシ

体鱗後端(たいりんこうたん)がわずかに凹んだ構造になっている(白↑)、強いキールが確認できる(赤↑)



どうです?私がウロコについて叫んでいる理由が少しわかったでしょうか?


腹板や他のウロコついては、また別の機会にアップしようと思います。


(蛇メタ師匠)

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