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きらめく虫が教えてくれる、森のこと

田植えを終えた6月のアオジシ谷


「里山Rebirth Project」進行中のアオジシ谷で、今年初のタマムシを観察しました。

 

タマムシは、エノキやケヤキ、サクラなどの広葉樹と関わりの深い昆虫です。成虫は夏の日中、日当たりのよい木のまわりを飛びます。幼虫は、枯れ木や弱った木の中で育ちます。つまり、タマムシがくらすには、生きている木だけでなく、時間をかけて枯れていく木や、日が差しこむ明るい場所も必要です。

 

森の中に、若い木、大きな木、枯れ木、開けた空間があること。そうした小さな環境の組み合わせが、タマムシの命を支えています。

美しいタマムシの成虫


タマムシの美しさにも、サイエンスのひみつがあります。


あの金属のような色は、絵の具のような色素だけでできているわけではありません。体の表面にある、とても細かな構造が光を反射し、角度によってちがう色に見えるのです。これを「構造色」といいます。シャボン玉やDVDの表面が、見る角度で虹色に見えるのと少し似ています。


だからタマムシは、止まっていても色が変わります。少し体の向きが変わるだけで、緑に見えたり、青く見えたり、金色に光ったりします。


飛翔するタマムシ。腹部も美しい


タマムシの色は、もちろん人間に「きれい」と言われるためだけのものではありません。敵から身を守るため。仲間を見つけるため。光の多い環境の中で、自分の体を目立たせたり、逆にまぎれさせたりするため。


その色には、タマムシが長い時間をかけて身につけてきた、生きるための意味があるのかもしれません。


エノキの葉に止まるタマムシ


野外でタマムシを探すときは、まず日当たりのよい木のまわりを見てみてください。特に、暑い日の昼前後。木の上の方を飛ぶ細長い虫がいたら、それはタマムシかもしれません。


見つけたら、すぐに近づきすぎず、少し離れて観察してみましょう。どんな木に来ているかな。高いところを飛んでいるかな。葉に止まったとき、どんな色に見えるかな。光の向きが変わると、体の色はどう変わるかな。


虫を見ることは、虫だけを見ることではありません。その虫が選んでいる木を見ること。飛んでいる時間を見ること。日当たりや風の通り道を見ること。まわりの環境ごと見ようとすると、1匹の虫から、アオジシ谷のしくみが少しずつ見えてきます。


アオジシ谷の夏には、そんな発見があちこちにあります。

渋い色味のウバタマムシの成虫


そして、タマムシのなかまには、もう少し落ち着いた美しさをもつものもいます。それが、ウバタマムシです。


いぶし銀のように静かに光るウバタマムシタマムシのなかまでも、色もくらしも少しずつちがいます。そのちがいに気づくと、野外を歩く時間は、もっと楽しくなります。


夏のアオジシ谷で光る虫に出会ったら、その美しさの奥にある、木との関係や、光のしくみ、命のつながりにも少しだけ目を向けてみてください。


タマムシは、アオジシ谷の夏がつくり出した、小さなサイエンスの入口です。



分 類 / コウチュウ目(甲虫目) タマムシ科

和 名 / タマムシ(ヤマトタマムシ)

学 名 / Chrysochroa fulgidissima

体 長 / 25-40mm

出現期 / 6-9月(成虫)

分 布 / 本州〜九州・沖縄


分 類 / コウチュウ目(甲虫目) タマムシ科

和 名 / ウバタマムシ

学 名 / Chrysochroa japonica

体 長 / 24-40mm

出現期 / 6-10月(成虫)

分 布 / 北海道〜九州・沖縄

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