風散布のなかでも翼を持つタイプの実やタネを紹介したので、今度は微細な種子を風に漂わせる方法で種子散布する、ラン科植物のシランをプチ紹介。
5cmほどの熟した果実から、微細な種子を飛び散らすシラン
シランの果実の中には、微細な種子がぎっしり詰まっています。ひとつの果実に、数万から数十万個もの種子が入っているそうです。そして、果実が熟すとすき間ができ、中から無数の微細な種子がこぼれ、弱い風にもふわふわと漂います。
種子の長さは1mmほどで、重さは0.01g以下しかない
種子を見ると、糸くず? チリやホコリ? という印象。拡大すると、楕円形の黄色いキャンディーが、ネット状のふくろの中に入っているよう。
種子が微細な訳のひとつに、養分(胚乳など)を蓄えていないことがあげられます。そのため、シランが発芽するためには、共生するラン菌の存在が必要です。生育条件が限られる分、種子を多くつくるのかしら!? なんて、単純には言い切れないのだろうね。
ラン科植物は、種子散布の観点からも興味深いけれども、ラン菌との共生関係として見ても、なかなか興味津々なことばかり。植物と共生する菌の世界・・・・・・はまりそう。
(pöllö=ポッロ)
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種子散布って?
植物は根をはり、成長してしまうと、その場所から移動することができません。そこで、種子(タネ)をはこび、なかまを増やします。植物自身が種子をあちこちに広げることを「種子散布」といいます。種子散布の方法はいろいろあります。
種子の散布方法
動物散布 くっついて運ばれる付着型と食べられて運ばれる被食型。
風散布 風によって運ばれる。
水流散布 水流によって運ばれる。
水滴散布 雨粒などの水滴によって飛ばされる。
自動散布 果実や種子が自動的にはじき飛ばされる。
重力散布 果実や種子が落下する。
分 類 / キジカクシ目 ラン科 シラン属
和 名 / シラン
学 名 / Bletilla striata
高 さ / 30-70cm
花 期 / 4〜5月
生活型 / 多年草
分 布 / 植栽が多く分布は不明瞭 自生地は減っている
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