ナガレタゴガエルを観察していると、副産物として冬虫夏草が見つかることがあります。
渓流に張り出したシダで見つかったヤンマタケ(宿主ミルンヤンマ・左♀右♂)
ナガレタゴガエルのエコツアー実施候補地のうち、2つの渓流が冬虫夏草の発生適地(坪と呼びます)らしく、ヤンマタケが観察できます。他にもギベルラやハナサナギタケ、イトヒキミジンアリタケなどなど。
冬虫夏草とは、昆虫類やクモ類、菌類などの宿主を栄養源として生育するキノコで、その発生パターンから、地生型・気生型・朽木生型などに分けたりもします。雑木林や渓流に張り出した枝などで見つかるヤンマタケは、気生型に含まれます。
ヤンマタケの宿主のミルンヤンマ♂(ヤンマ科)
飯能で観察したヤンマタケのほぼ全てが、河川の上流部に生息するミルンヤンマを宿主としていました。
2009年に採集したヤンマタケ(宿主トンボ科アカネ属のなかま)
他のトンボ類だと、2009年にアカネ属(赤とんぼ)を宿主としたヤンマタケを、ウノタワの登山口で一度観察しただけです。
アラカシの枝に着生したヤンマタケ(宿主ミルンヤンマ♀)
今の時期に見つかるヤンマタケは越冬個体で、来年の夏ごろになると成熟して、淡いオレンジ色や鮮やかな朱色の子実体をつけます。ヤンマタケは、タンポヤンマタケのアナモルフですが、いつかタンポヤンマタケを見つけてみたいものです。
成熟したヤンマタケを観察したいので、来年の夏ごろまで落下せずに残っていることを、祈らずにはいられません。
それにしても冬虫夏草というか、菌類は生態も分類も、勉強不足でわからないことだらけ。もっと経験と勉強を積まねば……ね。
分 類 / 麦角菌目 オフィオコルジセプス科
和 名 / ヤンマタケ
学 名 / Anamorph of Ophiocordyceps odonatae
宿 主 / トンボ科・ヤンマ科などの成虫
分 類 / 蜻蛉目(トンボ目)ヤンマ科
和 名 / ミルンヤンマ
学 名 / Planaeschna milnei
全 長 / 約60-80mm
分 布 / 北海道(南部)〜九州
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