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記事: Blog2_Post
執筆者の写真pöllö=ポッロ

ツリフネソウはワクワクが盛り沢山

夏から晩秋にかけて、植物の生態って面白い! と改めて教えてくれるツリフネソウ

飯能ではスギの植林地脇にある、やや暗い湿った沢ぞいで群落が見つかります。

沢ぞいで群落をつくるツリフネソウ


ツリフネソウは、マルハナバチ類に適応した花をつける、典型的な「マルハナバチ媒花」のひとつです。またツリフネソウは、花を終えると、熟した果実が破裂して種子を飛ばす「自動散布植物」でもあります。

ツリフネソウの花を横から見たところ


名を漢字で「釣船草」と書くように、小舟を吊り下げたような不思議な形態の花が、とても魅力的です。


ツリフネソウの花弁は3個あり、上部の1個は小さく、下部の2個は合着した唇弁です。花は袋状になっていて、後方に長く伸びた距はぜんまいのようにクルリと巻き、そこに蜜が貯まります。

ツリフネソウの花の断面


そんなツリフネソウの花の中を見ると、雄しべ5個の葯が合わさり、雌しべを包んでいます。そして、蜜の貯まった距の先までしっかり袋状になっています。

ツリフネソウに訪花するマルハナバチ類


ツリフネソウを観察していると、ひっきりなしにマルハナバチ類が訪花します。


マルハナバチ類は、花にぶら下がったり、潜り込んだりと、アクロバティックな動きが得意はハチです。そのため、吊り下げタイプの花など、特殊な形態をした花の多くは、マルハナバチ媒花だったりします。

長い口器をもつマルハナバチ類。背面にツリフネソウの白い花粉がついている


マルハナバチ類ツリフネソウの花に潜り込むと、その長い口器を距の奥にある蜜へ伸ばして吸います。その際に、ツリフネソウマルハナバチ類の背面に花粉をつけるのです。


マルハナバチ類は、同じ花を選んで巡回する性質があります。そのため、ツリフネソウにとって確実に花粉を運んでくれる、良きパートナーなのです。


ちなみに、このマルハナバチ類は、日本のお花畑が持続するために、無くてはならない生きものと言っても過言ではありません。感謝感謝

ツリフネソウの熟した果実


マルハナバチ類などのはたらきによって、ツリフネソウには無事に果実が成りました。ツリフネソウは果実になってからも、目が離せません。


熟した果実は、水分をふくんでパンパンに膨れ上がります。果皮の外層はどんどん伸び続けることで、果実には内側に巻き込もうとする力が加わります。


それが限界に達したときに、ツリフネソウの果実は「パチン!」と音を立てて破裂します。その時に、果実の中にある2〜3個の種子は、勢いよく飛ばされるのです。

ツリフネソウの弾けた果実と種子。「自動散布」の代表種


ツリフネソウの果実が破裂するスロー映像


iPhoneで果実が破裂する瞬間をスローモードで撮影してみても、早すぎて、しっかりとらえることができません。


ちなみに、この映像で撮影した種子は、50cmほどの距離を飛びました


ツリフネソウの花言葉は「わたしに触れないで」です。また、ツリフネソウの属名インパチェンス(Impatiens「耐えきれない」などの意味がありますが、それって果実が耐えきれずに破裂するからなのかしら。


何はともあれ、夏から晩秋にかけて、植物の生態を存分に楽しませてくれるツリフネソウは、ワクワクさせてくれる植物のひとつです。

(pöllö=ポッロ)


分 類 / フウロソウ目 ツリフネソウ科 ツリフネソウ属

和 名 / ツリフネソウ(釣船草)

学 名 / Impatiens textorii

花 期 / 8-10月

生活型 / 一年草

分 布 / 北海道〜九州

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